2018.12.25
オリーブはモクセイ科の常緑樹。穏やかな冬、温暖で乾燥し、長い夏がある気候が生育にベストとされる。
-5度以下にナルト若木や枝は枯死してしまう。さらに-10度以下の日が数日続くと、成木でも大きなダメージを受ける。また、開花時に春の遅霜に遭うような場所は向かない。
オリーブの木は、樹齢1-7年は「若木」。7年から35年は「生産の初期段階」。35年から150年が「成熟期」。150年以上は「老木」とされるが、その寿命は長く1000年を超えると木も珍しくない。
春先になると蕾をつけ、5月〜6月にかけて小さな白い花を咲かせる。風に乗って授粉する風媒花で、自家受粉も他家受粉も可能であるが、一般的には校舎で確実に授粉させるため、少なくとも3品種は混植するという。
7月ごろから実がなり始め、夏の間に大きくなっていき、初めは緑色から、徐々に紫、黒と変化していく。収穫は8月終わりころからテーブルオリーブ用(オリーブオイル用と異なる品種)の緑色の実からはじまり、オイル用としては通常10月ごろに始まり、遅いものでは翌年2月まで続く。
実の重さは品種によってまちまちだが、ひと粒約1.5-4g。一本のオリーブの木から取れる実の量は約100-150kg。最終的に1Lのオリーブオイルを得るには、およそ5kgのオリーブの実を必要とする。
1 収穫
収穫時期は、品種や気候によって変わり、また生産者が求める味わいによっても異なる。実が緑色の状態の時は苦みや青臭さを伴うオリーブオイルを生み出す。この段階ではポリフエノール成分をはじめ様々なフレーバーが多く含まれ、またクロロフィル含有量も高いため、オイルは緑の色調を帯びるのが一般的。
オリーブが熟し、色が変わる時はワイン同様、ヴェレゾンと呼ぶ。この時期の実からは熟してフルーティな特徴もあらわれはじめるので、苦味や刺激的な味わいをもちつつもフルーツ感のある味わいを得られる。さらに成熟が進み紫から黒色になると、カロテノイドが増えるためオイルの色調はより金色になり、苦みや辛味が少なくなり、スイートオイルとも表現されることがある。遅摘みの方が果肉が柔らかくなるため収量はより高くなり、生産性を求める場合に有効。
収穫方法は手摘みか機械摘みに大別される。収穫を決めると人々が総出でスピーディに行う。なぜならオリーブは摘んだ瞬間から酸化が始まるので、一刻も早く搾油所に運搬する必要があるからだ。なお、搾油所を自前で持たない小規模農家は、地域の搾油所を利用したり、設備のある農家から借りて行う。一方、新興生産国では機械化が進んでおり、畑では機械が入ることを前提に植栽されている。
2 洗浄
収穫された実はコンテナに入れられ、搾油所に到着すると、小枝や葉を送風機や手作業などで取り除いた上、水で洗浄し虫や泥などを除去する。長時間コンテナに置いたままにすると自重でつぶれ発酵が始まってしまうので、速やかに粉砕機にかけねばならない。
3 粉砕
洗浄したオリーブの実は果肉も種も一緒に、石臼や金属刃のついた粉砕機でつぶしてペースト状にする。石臼は果皮を切らないため、クロロフィルやポリフエノールの抽出が少ないという特徴がある。ただ手入れは大変で、また実が緑色のうちだと粉砕に時間がかかる。金属刃付きの粉砕機は連続的に作業ができ、効率がよい。石臼よりポリフエノールを抽出するため苦みが強くなる。乳化させる可能性もあり、その場合、オイルと水分の分離を妨げてしまうこともあるという。
さらに油分を分離しやすくするためにペーストを攪拌していく。このとき、27度以下で行うのが理想のようだ。ペーストを温める、あるいは水を加えると分離させやすいが、一般的に品質は低下するといわれる。
4 圧搾・分離
出来上がったペーストを圧搾して搾油する方法は、昔ながらの方法としては、丸い形のマットにペーストをのせ、何枚かを積み重ね、それを垂直式圧搾機で絞る(伝統的圧搾法)。昔は、大桶の中に縦に回転する石臼を置き、人や動物の力でひく重労働で「血の挽砕機」と呼ばれていたという。圧搾したオリーブの果汁には、オイルと植物性水分や固形物が混ざっているので分離させる。昔方法では、水と油の比重の違いを利用し、水溶性物質の上に浮かんだ油のみを抽出するデカンタシオンという方法で行われる。現在主流となっているのは遠心分離機による方法だ。水平式のドラムの中にペーストを入れ、それを高速回転させることで、より重い固形物をはじき出し、次に縦型のドラムに入れて、水分とオイルを分離させるというもの。工程が自動、連続式なので作業効率がよい。また、最新ではパーコレーション法というものもある。
5 不純物を取り除く
得られたオイルはステンレスタンクやドラム缶、カメなどに保管される。より品質を高めるため、沈殿ぶつや残ってしまった水分をタンクの下のとりだし口から引き抜いたり、あるいは上澄みだけをポンプで吸い上げる。その後は生産者の方針により、フィルターをかけるか、かけないかが選択される。より透明度や輝きを求め、沈殿物を完全に取り除く場合はメッシュフィルターをかけることもある。ただ、オイルによってはフィルターをかけなくても自然にクリアになるものもあれば、フィルターをかけても長い間濁ったままのというものもあるという。品質の違いや水分量、ペーストの細かさ。保管時の温度、タンクの深さなど、いろいろ要因は考えられるようだが、いずれにせよ。品質の指標ではない。
6 保管・瓶詰め
一般的に小規模農家の畑では混植されているので、出来上がるオリーブオイルはフィールド・ブレンドとなる。規模が大きいと、品種別や熟度別にオリーブを分けてペーストを造ることも可能なので、別々にステンレスタンクに保管し、それらを絞った後にブレンドすることもある。単一品種にするか、あるいはブレンドするかなど、生産者が求める商品に仕上げて瓶詰め、出荷となる。
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